前回はフロントフォークを外して、分解しました。今回は清掃&組み立てをしていきます。
前回:【VTR250】フロントフォークオーバーホール~分解編
いつものことですが、整備は自己責任でお願いいたします。
部品の点検
最初にフォークスプリングの自由長を測定します。
サービスマニュアルによると長さが324 mm以下の場合は交換が必要です。
写真では巻き尺がずれてしまってますが、測定した結果左右ともに330 mm程度だったので、問題ありません。
次にガイドブッシュです。
摺動面の銅部分が3/4以上現れている場合は交換らしいです。
どう見ても3/4以上銅の面積が現れているように感じます。。。
今回注文してなかった部品なので、追加で注文します。。。
これ以降の作業は次週以降ですね。。。
(こちらについては下に補足を記入したので、それも参考にしてください)
バックアップリングは変形してないか確認します。
ぱっと見変形はしてなさそうですが、側面が一部削れていたので、こちらも追加で発注しておきます。
ガイドブッシュについての補足
整備書のこの部分を見て、「フォークパイプブッシュ/ガイドブッシュともに銅の部分が全体の3/4以上表れている場合は交換する」と認識したので新品を発注しましたが、こちらはフォークパイプブッシュだけかもしれません。
なので、銅が見えてる=交換ではないので注意してください。
(今回は著しいかき傷があったので、交換して良しとしてます。)
(参考)油面・フォークの突き出し量について
(2020/10/17 追記)
色々計算して油面・突き出し量を決めましたが、サスがめちゃくちゃ硬くなってしまったので、一旦純正の油面・突き出し量に変えてます。この計算が合ってるかいまだに分かってないですが、参考に残しておきます。
~以下前回計算した内容~
ここからフォークオイルの油面をどうするか考えます。
フォークオイルの油面は下記のようにフォークパイプ上面から油面までの高さで定義されてます。(フォークパイプをいっぱいに縮めた状態で計測します。)
まず、純正品と購入したイニシャルアジャスターを比較します。
イニシャルアジャスターを一番緩めた状態で純正より7 mm高いです。
一番縮めると純正より22 mm高くなります。
今回購入したイニシャルアジャスターの調整幅は15 mmだと分かります。
こちらのサイトにわかりやすい解説があったので紹介します
高さが変わることで、インナーチューブが引きあがり、フォーク内の空気室の体積が変化します。この空気室の体積を変えることで乗り心地を変えるのが、イニシャルアジャスターの役割です。(インナーチューブを引き上げて空気室の体積を変えるので、正確には車高も変わります。)
リンク先の記事にも書いてありますが、空気室の体積が増えると空気バネの反発力が弱まり柔らかめの乗り心地に、体積が減ると反発力が強まるので、硬めの乗り心地になります。
今回購入したイニシャルアジャスターだと純正品より7 mmから22 mm空気室の高さが増えます。すなわち純正通りの油面だとやわらめになってしまいます。
純正より柔らかめから硬めにセッティングできるようにしたいので、イニシャルアジャスターの調整幅の真ん中が純正と同じ空気室の体積となるようにします。
デフォルトで純正より7 mm高いのと、イニシャルアジャスターの調整の真ん中7.5 mmを考慮して純正の空気室と同じ体積に体積にするには14.5 mmフォークオイルの油面を高くする必要があります。 (計算式は下記)
7 mm +(22 mm - 7 mm)/2 = 14.5 mm
油面でいうと98 mm(純正油面) - 14.5 mm = 83.5 mmです。
これで空気室の高さを90.5 mm ~ 105.5 mm で調整できるようになった...はずです。
もし計算が間違ってたらご指摘お願いします。
また、イニシャルアジャスターが入ることで、車高も14.5 mm上がってしまいそうなので、フォークの突き出し量も14.5 mm増やして車高が純正より低い~高いまで調整できるようにします。
(補足)年式によって油面が違う?
私の持っている整備書(FI車向け)では98 mmとなってましたが、下記ブログによると
油面は105 mmみたいです。
こちらの方はキャブ車のVTRに乗っている方なので、もしかしたら年式によって油面が違うので注意が必要です。
組み立て
一応組み立て前に清掃をしているのですが、今回は省略します。注意点としてはパイプを磨く際は必ず円周方向に磨いてください。
(縦方向に磨いてしまうとオイルが滲むラインができる可能性があるので)
組み立てですがまず初めにフォークパイプブッシュを取り付けます。
そのあとにガイドブッシュ、バックアップリング、オイルシールを下記順に取り付けます。
オイルシールを取り付け時に下記3点注意してください。
①パイプのエッジにひっかけて傷つけないようにラップなどを巻いたうえで取り付けを行う
②リップ部にフォークオイルを塗る。
③オイルシールは向きがあるので、間違えない事
(②についての補足)リップ部についてわからない人は下記リンクを参照してください。
(③についての補足)メーカの刻印があるほうが上面です。
また、よく見ると内側についてるスプリングの色が違います。
(上面側が白く、下面側が若干黒いです。)
次にフォークピストンとリバウンドスプリングをパイプに入れます。
入れる向きは下記の通りです。
(ちなみに向きを間違えるとソケットボルトが入りません)
次にオイルロックピースを取り付けたうえでボトムケースに取り付けます。
ボトムケースに取り付けたらソケットボルトにねじロック材を付けたうえで取り付けます。
(シーリングワッシャの取り付けを忘れないようにしてください。)
締める際は緩めるときと同様にボトムケースをしっかり押さえてください。
①フォークピストンがボトムケース下部まで落ちてない
→ボトムケースを垂直に立てたうえでソケットボルトを仮締めしてください。
②フォークピストンを入れる向きが間違ってる。
→フォークピストンの下部にねじ山が切ってあります。(下記図参照)
次にオイルシールを取り付けます。
本来はSST(Special Service Tool)と呼ばれる専用工具を使うのですが、
使用頻度が低い割に値段が高いので塩ビパイプで代用します。(VU40というサイズ塩ビパイプです。近所のホームセンターで50cm 200円程度で購入しました。)
こちらもオイルシールと同様にリップ部にフォークオイルを塗布したうえで取り付けます。
フォークオイルを入れたら、パイプをゆっくり上下させながらエア抜きを行います。
一旦割締めボルトを緩めて突き出し量を調整します。
油面調整
次にフォークオイルを入れます。(純正:467 ± 2.5 ㎤)
本来は量ったうえでフォークオイルを入れるべきですが、
後ほど油面調整を行うので多めに入れておけば適当でも問題ないです。
最初のうちは上下すると泡が出てきますが、繰り返すうちに泡が出なくなります。
自然に抜ける場合もあると考え一旦こちらを放置し、反対側のフォークも同様の作業を実施し、フォークオイルのエア抜きまで行います。
次に油面調整です。
油面調整用のツールを購入し使いました。
調整したい油面に合わせて、このようにセットし注射器を引くことで簡単に指定した油面に合わせることができます。
油面調整する際はフォークパイプを一番下にした状態で量ってください。
油面は先ほど紹介した通り83.5 mmにしました。
次にスプリングを入れます。
スプリングは向きがあるので注意してください。
ピッチが狭い側が下です。(下記図の向きで入れます。)
次にスプリングシート、カラーの順に入れていきます。
最後にフォークキャップを取り付けて組み立てはお終いです。
車体への取り付け
次に車体へ取り付けておきます。
最初にブリッジにフォークを通してトップブリッジ・ボトムブリッジの割締めボルトを一旦締めます。フロントフォークを仮固定した状態でフォークキャップを本締めします。
ジャッキアップしている状態で不安定なので、本締めする際はむやみに揺らさないように注意してください。
この時は突き出し量は適当です。
(イニシャルアジャスターを入れたことでメガネが入らなくなったので...)
フォークキャップが純正の方は突き出し量も合わせたうえで本締めした方がいいです。
本当は突き出し量14.5 mmにしたかったのですが、イニシャルアジャスターがハンドルに干渉してしまい、5mmが限界でした。。。
ちなみに5 mmはフォークパイプの上側の線とトップブリッジの距離としています。
突き出し量の調整が終わったらブリッジの割締めボルトを締めます。
次にフェンダーとタイヤを取り付けます。
タイヤを取り付けるときの注意点ですが、フロントフォークが平行になるように取り付けてください。
取り付け方は下記サイトを参考にしました。
今回はこれから取り付ける状態なので、ジャッキアップした状態で軽くアクスルシャフトを締め、ジャッキを下ろして本締めします。
(本当はトップキャップを外した状態でやるべきですが、先ほども書いた通りメガネが通らなくなってしまったので、キャップを外さずに実施しています。)
(補足) 0G締めと1G締め
車の場合ですが、0G締めと1G締めという言葉があります。
0G締めはその名の通り重力が掛かってない状態 = ジャッキアップ状態で締め付けることで、
1G締めは重力が掛かっている状態 = 接地している状態で締め付けることです。
今回は0G状態である程度平行度を出してから、1G状態で本格的に締めた感じだと思います。
0G締め、1G締めについて気になった方は下記リンクを参考にしてください。
キャリパーの取り付け
次にフロントキャリパーを取り付けます。
キャリパーをディスクに取り付ける際に入らない人はフロントブレーキレバーを握ってしまった可能性があります。ピストンを戻してあげればスムーズに入ります。
(ピストンの戻し方は下記記事参考にしてください)
そして、今更ですがキャリパーのマウントボルトを新品にしました。
(サービスマニュアル上では再使用不可となっているので)
推測ですが、再使用不可の理由はマウントボルトが外れてしまうとブレーキが利かなくなってしまうので、ねじの先端にねじロック材のようなものが塗られています。なので再利用不可となっていると思われます。個人的にはねじロック材を塗布すれば再利用できるように思います。
合いマーク付け
最後に今回整備した際に外したボルトに合いマークを付けていきます。
私が今回合いマークを付けたのは下記の2つの理由があります。
①締め忘れが無いかを確認するため。
②ボルトが緩んだ場合にすぐにわかるので
合いマークについては下記サイトで詳しく解説されているので、気になった方は参考にしてみて下さい。
作業日:2020/09/12
(実際はパーツ届くのに時間がかかっているので複数日で実施してます。)
走行距離:17304 km
走行距離:17304 km
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